第二章 仲間の絆

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 人身売買とは言えないが、それに近い形の違法取引なのは、恐らく世界共通だろう。それを大統領がやるのだからたまったものではない。 「すぐにと言うなら二十人位は、数日あれば幾らでも志願するでしょう」 「先発で二十人、後発で百人、ソマリアへの出入国手続きまでそちらで責任を持て。行き先はマルカだ」  百二十万ドル、それだけの外貨不足を解決出来るなら、ルワンダでなら親でも売るのは容易に想像できた。 「相変わらず元気なお方だ。もし彼が承知するなら、ルワンダは将軍の亡命を受け入れる用意がある。何なら国防軍の司令官に迎えるよ」 「そいつは彼奴に直接聞いてくれ。恩知らず共を罵るときにあんたは外しとく」 「そうしていただけますかな。税関にフリーで出国出来るように伝えておきます、これはサービスで」  鉄砲玉の管理はゴメスに任せたと、早々に大統領府を立ち去る。大商人も驚く手際で商談が成立した。 「ゴメス、武器弾薬をかき集めるよ。チャーター機を用意しな」 「はっ。してそれは何処から?」 「次はルワンダ軍基地に行くよ」
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