第二章 仲間の絆

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 駐屯地は車で二十分と掛からない場所にあった。何せ国土が狭い上に、都市部が点々としかないので、全てが近間にある。  正面から堂々と乗り込み、差し止める歩哨に「カガメ大統領の使いだ」大胆な嘘をついて押し通る。確認してもきっと大統領は肯定するだろうが。駐屯地司令官が現れ誰が来たのかと見る。 「あたしはプロフェソーラ、イーリヤ将軍の妻だ。武器弾薬を買いにきた」 「あのイーリヤさんの。ですが軍で装備は販売しておりません」  懐から小切手を取り出してサラサラと書き込むと、それを司令官の目の前に突きつけた。 「カガメ大統領は税関フリーを確約した。あんたがこいつを受け取らないなら、司令官を交代するよう連絡する」  どんな脅迫だろうか、解任か大儲けかを選べと大統領から呼び掛けられたとは。 「ルワンダ軍は大統領閣下の命に従います。お好きな物をお持ち帰り下さい」  すっかり商人の顔付きになり、ゴメスを呆れさせる。普段は大した金を使うことがない彼女だが、ケチなのではなく単に使いどころを知っていただけと再確認することになった。
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