第二章 仲間の絆

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 ベイルート空港、島と訪れて以来の風景に感情を抱く間も無くタクシーに乗り込む。 「総司令部だ」  ゴメスが代わりに告げる。レティシアの子分の多くがマルチリンガルなので、世界のどこにいこうと言葉には滅多に困らない。その中でも直下の幹部は特に語学能力が高かった。それにしたってプレトリアス連中には敵わない。  LAF総司令部はいつもと変わらぬ佇まいで、門衛が二人立っている。レティシアが階段を登り告げる。 「ハラウィ中将に会いに来た、プロフェソーラだ」 「聞いております、どうぞお入り下さい」  娘が来るからと聞かされていたが、全くの別人種なのに疑問を持つ。しかし曹長が現れ招き入れたのですっかり忘れてしまう。  最奥の部屋にまで案内する、エレベーターを使って。そこには二人の男性が待っていた。 「義姉さん……」 「良く来た義娘よ。龍之介の話は聞かせてもらった」  自由に動けない我が身を呪う、そう漏らした。国家の重鎮とはどこでも大差なく同じような制約を課されているものだ。
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