第二章 仲間の絆

19/19
前へ
/174ページ
次へ
「彼奴を奪い返す間、ロサ=マリアの面倒を見てもらいたい」  呟きには反応せずに不躾に用件を切り出した。その態度に怒ることもなく、ファードは頷く。 「責任を持って預からせてもらう、二人の子なら私の孫だ」 「頼んだ。ゴメス行くよ」  ロサ=マリアに口付けし、踵を返す。ワリーフが引き止める。 「待って下さい義姉さん、俺も行きます」  目でファードに問う。彼は小さく首を縦に振った。 「行ったらもう表舞台には戻れないよ、いいのかいそれで」 「構いません。義兄の窮地を見過ごす位ならば、一生地に潜っているのを選びます」 「ふん、ついといでワリーフ」  意思を認めて彼を連れ部屋を出る。外でリュカ曹長が待っていた。 「自分も着いていきます、ご許可を」  レティシアがワリーフを見る、好きにしろとの態度で。 「済まん苦労を掛ける、至らぬ俺を支えてくれ」 「好きでやっているんです、お気になさらずに」  笑顔で応じる。リュカ曹長も仕えるべき上官に頼られ、満更でもなかった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加