第三章 自由区域マルカ

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 小規模な滑走路を備えた地方空港。ジャンボジェットは延長が足りないため離発着出来ないが、中型は腕前次第で利用できた。貨物は医療品など緊急性が高いものであったり、精密器機や貴金属、基本は人間を運ぶ目的で設置されている。  チャーター機で乗り入れる外国人を、わざわざマルカ委員長が出迎えに来ていた。それだけではなく柄の悪そうな奴等と、軍服を着たもの、事務員まで含めてやたらと沢山の顔が並んでいる。  取り付け階段をゆっくりとレティシアが降りる。すぐ後ろにはゴメスが鋭い視線を飛ばしながら従っていた。 「マルカ委員長シャティガドゥドです、ミズ・レヴァンティン」 「エスコーラのプロフェソーラで呼んで欲しい。彼奴を取り戻したら改めて挨拶するよ」  燃えるような瞳の彼女に「プロフェソーラ、マルカは貴女方を歓迎致します」そう宣言して場を譲った。 「ラズロウ!」  黒いスーツを身に付けた集団から一人が前に出る。彼女直下の部下、子分は十数人のみしか居ない。それらがそれぞれに部下を抱えていた。末端の構成員はプロフェソーラの名前すら知らない者も居るほどに膨れ上がっている。
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