第三章 自由区域マルカ

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「ここに」 「全力で敵を叩き潰せ、手段は問わん。ゴメスを補佐につける」  護衛であるゴメスを初めて手放す。ルワンダやシシリーの件もあり、ラズロウも状況を把握するために必要なのだ。 「畏まりました。護衛を別につけます」 「ああ、ゴメスの替わりに義弟を傍に置く。ワリーフ」  ゴメスの後ろに居た彼を近くに呼び寄せる。顔見せの意味も含んでいた。 「元レバノン大統領警護隊司令ワリーフ・ハラウィ少佐です。義姉さんの護衛はお任せを」 「エスコーラのボス・ラズロウだ。部下を預けるので好きに使ってくれ、弾除けの壁にしても構わん」  全滅してもプロフェソーラが無事なら良いと強調した。 「解りました。義兄の奪還お願いします」 「エスコーラから強奪をして、敵が無事だったとあれば我等の名折れだ。討滅の上で必ず奪い返す」  かなり荒っぽい仕事になると薄っすらと笑みを浮かべた。きっと誰かを闇に葬り去る時もこのように笑うのだろう。  彼女は次に軍服の集団に体を振り向ける。そこには顔馴染みの奴等が幾人か並んでいた。
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