第三章 自由区域マルカ

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 アジトとは言っても自由区域内にしか場所を持てないので選択範囲は狭い。その中では最高の立地を占めているのは、オリヴィエラの器量だろう。  ――ラズロウなら域内なんてのを無視したろうけどね。  小粒なのではなく経験が足らないだけと受け止めておく。補佐から新天地に転じてきたのだ、リスクを取るべき時ではなかった背景も強い。 「ドン、こちらへ」  特別な設えの椅子に案内される。左手手前にはラズロウ、右手後ろにはハラウィが立っていた。  エスコーラの幹部が一同に介したのは初めてである。自然と互いに序列を発生させた。ゴメスとオリヴィエラが左右の先頭に並び、メルドゥスやジョビンらがそれに次いだ。ダ=シルヴァは常に最下位が定位置である。 「各地の勢力維持に三席を残し、残りはマルカに集めろ。仲間内で争い事を起こす奴は消す」  動員の規模や強度について真っ先に触れた。そして命令に従わなければ処刑されることも断言する。かつてブラジルで信用出来なかった仲間を皆殺しにしたことがあるだけに、ラズロウの言葉が脅しではないことを皆が知っていた。 「ブラヴァの奴等は大きく分けて三つの勢力に別れています」
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