第三章 自由区域マルカ

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「二つ目は地域発展を押し出した支援金を出せとの要求です。要求先は国連とモガディッシュ政府で、支離滅裂な主張でしょう」  オリヴィエラが言うように、政府を認めないのにモガディッシュから支援をさせるとか、国連を指名するのは良いが人質の代価に全くならない関係でしかない。 「最後はブラヴァ独立承認の要求で、各国政府に通知しています」  ――それならありそうな話だ。どちらも未承認な国がある。  政府が簡単に結論を出すはずがないが、局外で無関係な取引が成立する懸念はあった。  それにしたって正当な政府となるなら独立にはならない、何ともお粗末な話である。しかし異なる結果であっても、いずれかが成立したらそれで良い側面もあった。 「狂信者共が――」レティシアが口を開く「目を醒ますことは無い。ラズロウ、方針を上げろ」  最早この段階で作戦を決めてしまえと回答を要求する。デスクワークが好きな参謀連中なら無理だと慌てただろうが、この道一筋でやってきた彼は違った。脳内で即座に計画を作り上げ要所を固める。
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