第三章 自由区域マルカ

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◇ 「さて、後続が来る前に把握しておかねばな!」  マルカから仲良く出発ではマリー少佐が先のりする意味がなかった。手勢十数人をいかに活用するかで、良くも悪くも結果が幅広くなる。 「氏族の案内があればブラヴァに入ること自体は問題ないはずです」  個人の立場などもあるため、強固な拒否には会わないだろうとの見立てを示す。先の内戦ではあまり活躍の場が与えられなかったハマダ中尉が、部族社会の感覚を助言した。 「案内役か。即応拠点を確保するが案内とそれは別々が好ましいな」 「ドメシス少将に仲介を依頼してみては?」  二度便宜をはかってもらい、島がソマリアに拘束された際には保護をして貰えた実績がある。見返りさえ渡せばそのくらいの働きは期待できた。 「一本はそこに道を着けておこう。もう一つはシャティガドゥド委員長の筋からだ」  ハマダ中尉を始めとして、アサド先任上級曹長、サイード上級曹長、キラク曹長などアフリカ系の顔ばかりが並んでいる。肌の色で注目を集めるのはマリー少佐のみであった。
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