第三章 自由区域マルカ

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 ――ニカラグア国籍も多かったが、アフリカ出身もかなり居るものだな。  エスコーラ任せばかりには出来ないと、現場のトップとして案を捻り出さねばならない。時間の経過は不利しか産み出さないのだ。  ――何せボスの居場所だ、これを明らかにせねば全く始まらん。 「ハマダ中尉、アサド先任上級曹長、ルートの件は二人で行え」 「承知しました」  実務についてはアサドの方がより明るいだろうから、補佐につけてやる。ちらりと時計を見てエーン少佐やコロラド先任上級曹長が何か掴んでいないかの確認を行う。  お馴染みのイリジウム通信で、ソマリア内にいるはずのエーンをコールした。 「マリー少佐だが」 「エーン少佐だ。ブラヴァは警戒態勢に入っている」 「うむ。氏族の手引きでそちらに入る予定だが、何か進展は?」 「アルシャバブが閣下の処刑を要求しているとの話がある位だ」 「ということはまだ閣下は無事というわけか。装備を持ち込む」 「諜報を継続する」  取り敢えずはソマリア軍に捕らえられたままのようで一安心する。複雑な話ではあるが。
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