第三章 自由区域マルカ

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「手を出した以上、ソマリア軍はここにもやって来るでしょう。居場所を変えるのを勧めます」  公式にはシャティガドゥド委員長が拒否するだろうが、二回目からは実力行使を想定して危険を警告する。  ――空き地だけは幾らでもある、ワリーフの言う通りだね。 「直ぐに移動するよ」  進言を取り入れたかと思うと即座に立ち上がる。ルワンダから買い上げた装甲偵察車に乗り込み、マルカ自由区域から離れた。  ラズロウらの幹部もそれに従いマルカの拠点を引き払う。軍も顔負けの素早さにハラウィ少佐は感嘆の呟きを発してしまう。  クァトロと情報の共有を行った。ロマノフスキー大佐に座標を告げると、偵察衛星の写真を取り寄せると返答がなされる。 「ファイルの転送だから時間は掛からん」 「大体判れば良いんだ、そいつを頼むよ」 「その基地に居るかは知らんが、マケンガ大佐が軍事教官として滞在しているようだ」 「コンゴの彼奴が? 厄介だね、境遇はさておき能力はある」 「うちの奴も劣りはせんさ。こちらもあと二十数時間で到着の見込みだ」
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