第三章 自由区域マルカ

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 三日月島を出るところだと明かす。いつもは歩兵として装備を整えてきたが、今回は海兵のようだと漏らした。違いはざくっと、歩兵は重装備で長期戦闘が可能、海兵は素早い打撃力と短期間の戦闘を目的としている。 「軍幹部の家族を拉致した、士気は低いはずだよ」 「逆に追い込むことになりかねん、脅すだけにしてくれ」 「甘えてるんじゃないよ、それを撃ち破るのがお前の仕事だろ」 「違いない。ボスを取り戻したら暫く身を隠す必要がありそうだ」 「なに行先なんていくらでもあるさ」  今はより近い未来のことだけ考えておけ、電話を切ってしまう。  ――ソマリアでの活動時間は短いに越したことはない。海に出ちまえばほぼ仕舞いだ。 「なあワリーフ、あたしも基地に乗り込むって言ったらどうする?」 「元よりそのつもりでしたよ。違ったんですか」  わかりきったこと、お供しますと肩を竦める。 「確認だよ。あたしらはそうやって生きてきた、彼奴もお前等もだろ」  後ろに控えるリュカ曹長と目をあわせ「最近は顕著ですね」笑顔を返した。
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