第四章 宗教都市ブラヴァ

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 長い間イスラムの教えを目にしてきた上に、アフリカ系の顔つきなので全く怪しまれずに彼等はブラヴァにやって来ていた。今回ばかりは精鋭の四人だけで飛んできた、多数になれば逆に行動の幅が狭くなるから。 「従兄上、近くの集落を確めて参りました」  凡そ十キロ圏内にあると聞いた場所を実際に目で見て偵察してきたのだ。これにはトゥヴェーとフィルが当たっていた。 「北西の集落が最有力だが」 「ヤ。すぐ傍に軍の基地がありました、敷地は広いですが人影は疎らです」  外からの攻撃には極めて強いだろう、平野が周りにあって丘に陣取っていたのを報告する。 「最悪はそこだ、ならばそこにいらっしゃると考えて進めよう」  街中のホテルにでも移されているなら、罠があろうと喜んで突入する。トゥヴェーだけでなく、コロラドが集めた情報からも軍施設に拘束されているだろうことが濃厚であった。 「エスコーラが武器の提供を申し出ております」  ドゥリーのところに連絡が来ていた。レバノンに居残りが多くなっていた彼は、ハラウィ少佐と密にやり取りをするようになっていたからである。
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