第四章 宗教都市ブラヴァ

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 ――内部に食い込み仲間を誘う、それが俺達の役目になるだろう。重装備は返っておかしい、護身用と……あれか。 「拳銃とナイフだけ受領しておけ」  それとは別に、とドゥリーに用意すべき品を指示する。いつものことながらソマリア人は気が変わりやすい、明日には方針が百八十度反対になっていてもなんら不思議はない。  島が居ないだけでこうまで皆がバラバラに動き回る、存在がいかに大きいかを物語っていた。 「トゥヴェー、軍施設にトラックを買いに行きたいとして繋げ」 「実際に買い入れてしまっても構いませんね」 「うむ。何せ中に入られるようにするんだ」  持ち出しが面倒であったり、複数から選んだり、理由は何でもよかった。  ――マケンガ大佐が居たら我々のことを知っているだろう。 「プレトリアスではなくベレンダシマを名乗れ」  何のことはない、恐らくは不理解だろうアフリカーンス語でシマの友人と指定した。日本語とアフリカーンス語を共に理解していなければ、姓の一つとしか受け取られない。それでいて古参の部員はシマに気付くし、マリーならばオランダ語から推測もするはずだ。
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