第四章 宗教都市ブラヴァ

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◇  マルカに五十人ばかりが新たに乗り込んできた。船からは重そうなコンテナが幾つも搬出されている。それらの指揮を執っているのはヌル中尉であった。 「そちらのコンテナは開封せずにトラックに載せて、二番のは中味を確認の後に配布を」  下士官らに細かい指示をする。植民地軍を指揮する際に、認識を誤らないようにとそうなっていった歴史がイギリス軍にはあった。常に紳士であれ、国家的な風潮も相まって彼は穏やかに命令を下す。 「オビエト曹長、エスコーラから車両の受領を」 「ヴァヤ」  船で簡単な砲の操作を講義して、何とか一種類だけは覚えさせた急造の砲兵部隊。それと本隊の選抜から漏れたメンバーを陸上げしている。  かつてはグロックに部下を指揮するのは難しいだろと思われていたが、今や立派な砲兵将校として振る舞う程になっていた。  ――倉庫番を残して跡形もなく消えましたか。クァトロもエスコーラもブラヴァに進軍したわけですね。  つい先日まで何故かルワンダ人がやたらと居たが、すぐに居なくなってしまったとの話も耳にした。
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