第四章 宗教都市ブラヴァ

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 ――装備だけでなく、ルワンダ人も沢山雇ったようですね。  現地の新聞に軽く目を通して、少しでも情勢を把握しようと努める。自爆テロが多数起きていて、騒ぎになっているのも知る。犠牲者の多くがソマリア軍人とアルシャバブの有力者だというのが想像を容易にさせた。 「中尉殿、搬出完了しました」 「ご苦労。オビエト曹長が戻るまで小休止を」 「イエッサ」  フィリピンで入隊してきたブルネイ人の兵士だ。体は小さいが手先が器用なので整備班に所属させていたのを引いてきた。  ――ラ=マルカで何か情報が無いか聞いてみるとしましょうか。  自由区域内にあるホテルは時ならぬ賑わいをみせていた。間接的な支援者であったり、どこかのスパイであったり、単なる業務者も当然多数利用している。  駐ニカラグアの事務所が入っているのもここで、来所を告げると事務兵士が応対に出る。 「ここはニカラグア軍ソマリア分室ですが?」  後ろに居る皆も間違って入り込んできたのだろうと、冷ややかな視線を向けてくる。ヌルがニカラグア人といった雰囲気ではないから。
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