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格子が嵌められた小さな窓がある部屋、机と椅子と寝台が置かれていて、あとは僅かな空間が残されているのみだ。とても重要人物を住まわせるような環境とは言えないが、牢獄に入れと言われたらそうするしかない立場なのも勘案し、二人は黙って従っていた。
「どう思う?」
あまりに漠然とした一言、だがしかしイタリア語を使ったので、監視にばれないようにする話の中味だとすぐに勘づく。扉の外に常駐する兵士は現地語の他にアラビア語を話す程度で他はまったくであった。
「早晩我等の灯火は吹き消されるでしょう。脱走しますか?」
「余計なことをして監視が強まれば、ロマノフスキーに叱られちまうな」
――あいつらのことだ、来るなと言っても救出に来る。大事件に発展するのは避けられん。
下手にお願いして成立するなら大いに結構だが、百のうち九十九は上手くいかないのが目に見えている。
「三日月島から船でマルカに到着して、ここに来るまでは明日あたりでしょうか」
どの時点で知り得たかにもよるが、オリヴィエラが未着を放置しなければ程無く知り得るはずだと読む。
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