第四章 宗教都市ブラヴァ

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◆  ソマリア軍基地。広場で訓練する兵を二階の窓から見下ろしている。  ――身体能力はコンゴの奴等と変わりはない。ついでに精神構造まで同じではやるだけ無駄だろうな。  一向に部隊としての戦闘力が上がらないので心中で悪態をつく。それでも軍事教官として来たからには、一定の結果を残さねばならないのは事実であった。 「マケンガ大佐、例の男ですが明日には処刑の見通しです」 「そうか」  興味なさそうにそっけなく返事をする。司令官から雑用係りに付けられたのだが、監視されてるも同然であった。  ――キシワ少将か。一時は俺と同じ舞台に立っていたが、地獄を這いずり回るうちに抜け出せなくなったようだ。  一旦リタイアした自分と比べてみて、どちらがよりよい現在を迎えているか悩んでしまう。  ――俺には自由の時間が出来たが、奴は心と体をすり減らし続けてきた。果てはこんな場所で最期とはつまらんな。  ンタカンダ大将が国を替えてのびのびと悪事を働いているのが羨ましいわけではないが、納得いかない何かを抱く。
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