第四章 宗教都市ブラヴァ

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 訓練基地に見慣れない人影が入ってくる。兵と並んで歩いているので侵入者というわけではない。 「あれは何者だ?」 「確認して参ります」  別に基地の防衛を命じられているわけでもないので、そんなことを気にする立場ではないがやけに落ち着かなかった。  ――もう少しで契約が終わるが、効果が出ていないと指摘されたらどうにもならんな。無給でただ飯といった結果か、中間管理職が俺の限界だったのかも知れん。  すっかり気落ちしたが、ルゲニロ司教が無心に来るわけでもなく、頭を押さえられるわけでもなく、ストレスはさほどでもなかった。 「あれはベレンダシマという商人で、買い付けにきたようです」 「ベレンダシマ? ソマリ人の姓名なのか」  聞いたことがなかったのでついつい尋ねてしまう。 「わかりません」 「買い付けとは?」  売り込みにくるならばわかるが、買いにきても兵器しかないのだ。まあそれも頷ける内容と言えるが。 「トラックや小型の武器を必要としているようです。アフリカ連合の視察も兼ねているとか」
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