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訓練基地に見慣れない人影が入ってくる。兵と並んで歩いているので侵入者というわけではない。
「あれは何者だ?」
「確認して参ります」
別に基地の防衛を命じられているわけでもないので、そんなことを気にする立場ではないがやけに落ち着かなかった。
――もう少しで契約が終わるが、効果が出ていないと指摘されたらどうにもならんな。無給でただ飯といった結果か、中間管理職が俺の限界だったのかも知れん。
すっかり気落ちしたが、ルゲニロ司教が無心に来るわけでもなく、頭を押さえられるわけでもなく、ストレスはさほどでもなかった。
「あれはベレンダシマという商人で、買い付けにきたようです」
「ベレンダシマ? ソマリ人の姓名なのか」
聞いたことがなかったのでついつい尋ねてしまう。
「わかりません」
「買い付けとは?」
売り込みにくるならばわかるが、買いにきても兵器しかないのだ。まあそれも頷ける内容と言えるが。
「トラックや小型の武器を必要としているようです。アフリカ連合の視察も兼ねているとか」
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