第四章 宗教都市ブラヴァ

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 ――理由ありだな。まあ俺が知ったことではないが。 「そうか」  また興味を喪った風を装い返答した。あまり食い付くと変な疑いをかけられてしまう。 「今晩だが、夜間訓練を行う手配をしておけ」 「今日は安息日ですが」  軍隊にいて一般勤務中に安息日もなにもあるかと怒鳴り付けたかった、だがそれをぐっと押さえ込む。 「敵も安息日に攻めてこないと言うのかね。アメリカはラマダン月の安息日、しかもマグレブに作戦を始めたことがあったが」 「……自分は命令する立場にありません。大佐がご自身で命令下さい」  恨まれるのは自分だからと手配を拒否する。 「わかったよシャイセマン。私が手配しよう」  解らない単語が混ざっていたが、自分で命令すると了承したようですんなり引き下がる。雑用係りは部屋を出て、すぐに中将にご注進と相成った。  すっかり夜間訓練の手配が終わった後に、中将の命令でそれが取り消された。理由は安息日だから、である。  ――どいつもこいつも糞野郎ばかりだ! そんなことで戦いが出来るものか!
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