第五章 死の囁きは永遠に

3/29
前へ
/174ページ
次へ
 様々な車に分乗すると野営地から軍基地に向かう。隠密行動など慮外であり、物騒な兵器を手にした集団が身を晒している。  点在する民家からは現地人がまた騒動が起きると見詰めていた。どこかに通報するでもなく、ただ見送るのみである。 「ボス・ラズロウ、軍基地で警戒に入ったようだ」  ゴメスが監視からの報告を上げた。レティシアに作戦での序列をつけられているので、今回は補佐に徹する。  集団はファミリー毎に固まって動いていて、多くがナンバーツーにより指揮されていた。トップは司令部となっているラズロウの車の周りを占めている。 「不在で無くて良かった、居なければ振り出しに戻るからな」  報告を強気に解釈し分散して接近するよう命じる。一部の集団を様子見で先行させた。金で雇われたりエスコーラに連なりたいと犠牲をいとわない連中、それとは真逆で戦奴のようなグループだ。麻薬に侵され仕方なく働かされていたり、家族を人質に取られていたり様々だ。 「突っ込ませろ」  まるで家畜を囲いに追いやるかのように命じる。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加