第五章 死の囁きは永遠に

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 手に銃を持っているだけソヴィエト時代よりは明るい。あの頃は素手で突撃をさせて、弾丸を使わせるのが目的で屍を晒していたくらいだ。  付け焼き刃の不馴れな攻撃であっても、ソマリア軍の反撃に手加減はない。当たり前だが誰が撃とうと当たれば痛いし、死んでしまうのだから。 「あちらも負けず劣らず下手くそだな」  ――第一線部隊は必ず控えているだろう。向こうも様子見で応戦しているだけだ。  十分程推移を見守り、概ね相手の戦闘力を見極めると次なる指令を下す。 「オリヴィエラ、西から攻撃を加えろ。直接指揮を執れ」 「シ ボス・ラズロウ」  南に固まっている本隊から二割位の数が左手に別れて行く。下から攻め上げるのは難しい、だからと楽な道は一つもない。 「メルドゥス、北だ」 「直ぐに向かいます!」  三方から囲む。東は敢えて道を開けているが、逃すつもりは一切無い。移動が完了したのを認めて後に、攻撃をさせる。 「仕掛けろ!」  麾下の半数を消耗戦に充てる。だがエスコーラにとって被害など眼中にない。
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