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劣勢、予測より余りにも被害が大きく、相手に与えるそれが少ない。予定より幾ばくか早いが、切り札を一つぶつける。
「ジョビン、人質を押し出せ」
命令が下るとすぐに、平トラックの荷台に立てられた何かに注目が集まる。木の骨組みに人が縛り付けられているではないか。ゆっくりと三方の全面にトラックが複数台進み出る。
「あ、あれは母さん!」
「うちの妹も居るぞ!」
「じい様は病気なのになんてことを……」
軍基地の中から悲痛な叫び声が上がる。反撃が止む、人質に当たっては困るからだ。
反応を嘲笑うかのように、エスコーラが間から攻撃を繰り返す。悪魔の所業であるが彼等はそうは思っていない、敵対者は死と恐怖で屈伏させる、ただそれだけなのだ。
本部で観戦中のハラウィ少佐が表情を歪める。だが口には出さない、覚悟の上だからだ。
「軽蔑するかい」
肯定されたからと別にどうするわけでもない。無言が苦しいなら喋れば良いと誘っているだけで、ハラウィもそれを解っていた。
「これは戦争じゃありませんから」
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