第五章 死の囁きは永遠に

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 一時は人質を押し立てて有利に戦っていたが、いつしか諦めたのか反撃を苛烈にしてきている。殆どがソマリア軍からの流れ弾であるが、人質が死傷したのはギャングスターのせいだと頭に血が上っているから仕方ない。 「むっ」  ついに一角がエスコーラにより切り崩された、死兵が集中して押し込む。ラズロウからの命令があちこちに飛んでいた。  ――だからと勝ちにはいけんぞ。ギカランの奴は何をしてるんだ!  ハラウィ少佐が限界間近になってきたと戦況を読む。もしここで本隊が奇襲でも受けたら総崩れしてしまうと。 「リュカ曹長、後方を警戒だ」 「ダコール」  ブラヴァから増援が来てはたまらないので偵察を派遣させる。残してきた監視だけでは漏らす可能性があった。  戦争の素人にしては落ち着いている、それがラズロウへの評価である。きっと規模が大きくなるほどに顕著になるだろう。 「確保したみたいだね」 「突破口になるかはまだ五分五分でしょう」  勢いよく連射する音が聞こえてから、再度乱戦に突入したからだ。
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