第五章 死の囁きは永遠に

9/29
前へ
/174ページ
次へ
◇  急にソマリア兵がその場に伏せた。次の瞬間大爆発が起こる。基地の北側防御線のやや内側が騒然とした。 「砲撃だ!」  まずは我が身と祈り、どこから砲撃されているかをキョロキョロと探る。ギャングスターらも意表をつかれたのか動きがぎこちない。  反対の南側にも砲撃が加えられる、時間間隔から二基の大砲から発射されたのだと多くが理解した。二発目は対人榴弾がばらまかれ、負傷者が続出した。 「少佐、東の防御に乱れが」  双眼鏡で確認してハマダ中尉が報告する。一度動き出したらもう止まりはしないので、始めるタイミングが重要だった。  ――まだだ、俺達ならばきっと抜ける。ギリギリまで息を殺してひそむんだ!  小さく頷くだけで命令を発さない。エスコーラは最早一杯になっているが、それを助けては本末転倒になってしまう。 「西側に弾着あり。被害不明、火災発生」  見上げるような状態なので詳しくは解らない、煙の上がり具合で凡その結果を想定した。  エンジンを切って固唾をのんで推移を見守る、すぐにでも飛び出したい気持ちはマリーも変わらなかった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加