第五章 死の囁きは永遠に

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「戦闘準備!」  マリー少佐が鋭く命じる。ハマダ中尉が隣に居るサイード上級曹長に命令を繰り返した。 「戦闘準備だ、エンジンに火を入れろ、安全装置を外せ、機銃に弾丸を籠めろ!」  誤射を防ぐために敢えてそのように待機していた部隊に魂がこもる。砲撃陣地にも一報があり、各自が気合いを入れ直す。 「司令、戦闘準備完了です」 「我々は東の防壁を抜き、一時的に広場を占拠するのが目標だ。ソマリア軍の守備隊ごときに遅れをとるな、出撃!」 「ダコール!」  マリー少佐の言葉に全員が力強く返事をする。もはや隠す必要は無い。  EE9カスカベル・コンゴ――コンゴ仕様戦闘装甲車両カスカベルを先頭に、四台ずつに別れて三つのグループが荒れ地に繰り出して行く。 「防壁に砲撃を行え!」  砲兵陣地で破壊力が高い砲弾を選択し、ヌル中尉が照準設定を行い砲撃する。数百メートル前方で今まで攻撃されなかった面に被害を受け、慌てて車両集団に小銃で反撃してきた。  ――そんな弾に当たるものか! こちとらここで死んでる暇はない!
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