第五章 死の囁きは永遠に

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 後続の軽装甲車両が若干苦労しながら何とか防壁の内側に侵入する。兵が降りて三メートル程度の幅だけ、手作業で瓦礫を除去した。車両で姿を隠すようにして展開しているので、十秒少し動きが止まる。 「北側からロケット!」  誰かが叫んだ、初速は秒速百数十メートルなので見てから逃げ出しても間に合うことがある。構えている兵を倒せなかったので、軽装甲車両の乗員が飛び降りた。直後に大爆発を起こして炎上する。  すぐに猛反撃を加えると一部分が丸焦げになってしまった。採算など考えて命のやり取りなど出来ない。 「ハマダ中尉、進撃路確保しました!」 「よしアサド先任上級曹長、進め!」 「ラジャ」  第二小隊が縦に並んで進む。軍用ジープが軽快に悪路を走破する。炎上している車両は放置して南側の隙間から次々に軍基地へと入っていく。  フィリピンやニカラグアで最前線に出られなかった兵が、激しい実戦に興奮を隠しきれない。だが下士官が冷静に指揮する姿を見て、何とかそれを抑える。弧を描くように基地を走り回り、三方の守備兵に手厳しい洗礼を与える。
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