第五章 死の囁きは永遠に

15/29
前へ
/174ページ
次へ
 バンバンと手のひらで車体を叩いてから「司令部も前進だ!」マリー少佐が続く。  ――エスコーラが敵を引き付けている間に一気に行くぞ!  時計を見て頷く、想定内の誤差で済んでいるのを確認した。やはりいつも仕掛けが早すぎたというのを痛感する。土煙が酷いので兵が一人交通整理を行っていた。  瓦礫近くを徐行し基地内部に抜けると視界が拓けた。それこそが重要でウェブカメラでそれを転送する。 「百八十秒で煙幕展開!」  規定の行動を告げる。各隊の副長がタイムキーパーとなって注目した。迫撃砲でも煙幕を発射する準備を行う、特に精密な照準は必要としない。  赤と緑の煙が二ヶ所ずつで八玉、それ以外は場所を選ばず白い煙を盛大に吹き出している。視界が無くなり敵味方双方で恐怖が浸透してくる。少し場所を動いて安心が得られるならば、そうする兵が多い。 「対空兵器を沈黙させろ、制圧射撃を行え!」 「対空兵器を排除、制圧射撃開始!」  サイード上級曹長が言語を違えて繰り返す、フランス語と英語で叫べは全員に通じた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1657人が本棚に入れています
本棚に追加