第五章 死の囁きは永遠に

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◇  煙幕が薄くなって行く、地表辺りはうっすらと先が見通せる位になった。未だにソマリア軍が圧倒的多数を占めているが、火力だけみたらクァトロに及ばない。 「司令!」 「うむ、味方が降下する場所を確保するぞ!」  マリー少佐の命令で二手に別れて軍基地を西に向けて走る。無線から命令が漏れ聞こえてくる。  内城にあたる小さな囲いの中にある建物、その屋上に落下傘が四つ降下した。多少の操作は可能だが、狙ってそこに降りられる程の訓練度ではない。  総勢から一割のみが敵の中心部に直接到達する。良いのか悪いのか、なんとブッフバルト大尉とビダ先任上級曹長が屋上で顔を会わせてしまう。 「兵の指揮はバスター大尉がするはずだ、俺達は本部に突入するぞ!」 「ヴァヤ!」  二人の兵を下に置き、パラシュートの下部に括りつけてあった銃剣をFA-MASに着剣する。ちらりとマリー少佐の指揮車両が視界の端を通り抜けた。  屋上の扉には鍵が掛かっておらず、ドアノブを軽く捻ると簡単に開いた。ヘリポートでもないので内部からしか登れない、警戒の範疇から外れていたのだろう。
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