第五章 死の囁きは永遠に

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「可能性は半々だろう。兵を捕まえて居場所を吐かせるとしよう」  あちこち探し回るより、今は強引に聞き出すのが適当だろうと方針を示す。近くの部屋に気配がないかを確かめる、声が聞こえるが何を話しているかは解らない。ソマリ語を理解する人物は誰もいない、アラビア語もだ。  多数が居るようには感じられないので、一、二の三で扉を開けて突入する。真っ先にビダ先任上級曹長が入り、上等兵、一等兵と続いた。 「動くな、大人しくしろ!」  ビダがスペイン語で命じるが全く通じない、ブッフバルトが英語で繰り返すと、一人だけ理解する敵がいた。五人の後方勤務らしく黒い肌の兵が包帯や医薬品を仕訳していたようだ。 「騒いだら殺す、英語は解るなお前が答えねばやはり殺す、解るな?」  解らねば全員処分して解る奴を探すと冷たくいい放つと、「喋る、何でも喋る」と両手を挙げた。目を見開き無抵抗を強くアピールし、四人は空気を読んでピシッと口を閉ざす。 「ここに外国人が居るだろ」 「イエス」 「居場所は知っているか」 「イエス」
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