第五章 死の囁きは永遠に

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 通路は単純な一本の廊下が通っており、一般の造りと差違がない。時おり窓ガラスが流れ弾で割れて驚かせる。それとて部屋についているもので、通路には直接光が入らないぞんざいな設計である。 「向こう角に警備が二人」  フィルが目当ての場所に敵が居ると報告する。撃ち合いをしてもし部屋の中にも見張りがいたら往生してしまう。 「ドゥリー、フィル、二人で近寄り音もなく片付けよ。大尉は逆の角に行って姿を現し注意をひけ」  トゥヴェーを付けてやり、不明言語を補わせる。ビダらには不意に敵が通路に現れた際に倒す役目が与えられた。もし手が届かない場所に出たなら発砲もやむ無し、簡単な目安を決めてやる。  ブッフバルトらが回り込む時間十秒程みてから、二人でゆっくりと警備に歩み寄る。 「戦いが始まっているが我々は無事に出られるのか?」  やれやれといった感じを装い面倒くさそうに話し掛ける。商人が居るのは上官から聞いていて、粗略に扱うなと注意を受けていたので応じる。 「盗賊の類いです、ご心配なく」
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