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払われたその手が顔の顔の前を通過する時、反射的に口元のタバコを取った。そして白い煙を出しているタバコを地面に落とし靴で踏みつけた。
「テメー何すんだよっ!」
タバコを奪われたハジメは烈火のごとく怒り右手の拳を振り上げた。
――それは嫌々ながらも数年通っていた習い事(合気道)が役に立った瞬間だった――
体と頭が咄嗟に反応し俺はハジメの拳を自然と避けていた。
その行動に自分も驚きだったが、ハジメも驚きを隠せないような顔をしていたのを覚えている。
「っざけんなっ!」
避けたことによりハジメの怒りはさらに上がり、さっきよりも険しい顔で再び殴りかかってきた。
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