st.2

5/5
前へ
/45ページ
次へ
ピピピピ 朝のアラームが鳴り、ハンは腕をのばした。 いつもよりすっきり目覚めた気がする。 それになにより、この温かさはなんだろう。 柔らかくて、ずっと抱きしめていたい。 すりっと頬刷りをし、それに顔を埋めると、やっと疑問がわいた。 じわじわと昨日の記憶が蘇る。 確か、昨日はチョコを渡して、一緒に・・・・。 おそるおそる状態を確認すれば、シキの体に覆いかぶるようにして寝ている自分の姿。 シキの左手は落ちないようにハンの腰にあてられ、顔をみれば、少し口をあけ寝ているシキの寝顔が目に入った。 「大丈夫です。何もしませんから。」 昨日のシキの台詞を思い出す。 現金ながら、その台詞で安心してこうして眠りについてしまったようだ。 「重たく、ないの?」 小さい声で聞いてみたが、返事はなかった。 ずるい人間。 再びそう思い、距離を0に縮めた。 とても心地がいい。誰かとこうして寝るなんて、久しぶりだった。 いや、こんなに密着し、何もないなんて事があるのだろうか。 もし相手がヨンなら・・・。 不埒な考えさえよぎる。 少しはだけたシャツから見える鎖骨をそっと撫でてみた。 実はずっとこの鎖骨に触れてみたかったのだ。今までそこを魅力と感じたことはなかったのに、ジムでみせるシキの鎖骨がやけに官能的に思えた。 まだ、目を覚まさないで。 そう願いながら、ハンはこの人肌を求めた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加