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素直に訪ねると、カールの女の子は驚きながら教えてくれた。
「鷹司先輩は我が校のサッカー部を初の全国大会優勝に導いてくれた偉大な先輩なの。一時期はテレビのニュース番組でその動向が何度も取り上げられていたんだから。
本当に知らないの?でも怪我のせいでプロの誘いも断ったって話よ。怪我で断念、悲運のエースって惜しまれてね」
サッカー部……そうか、森野さんも、部活がどうとか言ってたっけ。でも、こんなに、活躍していたとは。だけど、怪我って、今は大丈夫なんだろうか。そんな様子は無かったけど……。
「知らなかったなあ」
少し心配になりながらも素直にそう言うと、カールの女の子は笑った。
そして、次の始業を知らせるチャイムが鳴る。
「鷹司さんっておもしろいね。あたし、由美っていうの。真岡由美。よろしくね」
そう言って、由美ちゃんは笑顔で自分の席に戻っていった。
どうやら、智樹さんのおかげで、良い友達ができそうだ。
「どうでしたか?初日は」
迎えに来てくれた森野さんの車に乗り込み、あたしはにこにこして答えた。
「うん。すごく楽しかった。智樹さんのおかげで友達たくさんできたし」
あれから、休み時間や昼休みに智樹さんの話題でとても盛り上がったのだ。転校初日なのに、たくさんの子と話して、みんなと仲良くなれた。
本当に智樹さんのおかげだ。
サッカー部の男子、遠藤くんはとっても興奮して智樹さんの雄姿を語ってくれた。
清華学園伝説のフォワード、狙ったゴールは外さない、突破力はプロ並み、などなど。是非見たかったなあ。
「やんちゃな智樹さんのこと、たくさん聞けました」
「そうですか。それは良かった」
森野さんはにっこりとして言った。
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