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こたつの電源が入っていない事を悟ると、再び立ってスイッチを入れた。
程なくして、オムレツの卵も焼き上がり、幸子はお盆に乗せた料理を運ぶ。
彼女も同じく椅子に座ると、葛西は、そう言えばさ、と何気なく問い掛けた。
「サチ、さっきまでどこにいたの?」
「え…?」
そう言った葛西は、壁の時計を一瞥し、テレビのチャンネルを変えた。
「いや…。こたつ点いて無かったから」
普段から冷え性を訴える幸子は、家でくつろいでいる時、必ず居間にあるこたつに入っている。
料理は既に済ませていたみたいだし、お風呂に入っていた様子でもない。
季節は12月上旬。
エアコンとこたつぐらいでしか暖をとれないと言うのに、寒がりの幸子はこたつも点けずに何をしていたんだろう。
葛西は何となく疑問に思った。
「寝室に布団敷いてて…。
そう言えば慎ちゃんの洋服箪笥の中がぐちゃぐちゃだったなぁ~って思い出して。整理してたの」
いただきます、と手を合わせ、幸子は平然と言う。
「慎ちゃんA型だけど、そういうとこは適当だよね?」
「アハハ、そうなんだ? ごめんごめん」
じろりと見据える幸子から目を逸らし、あ、始まったよ、とテレビへ話題を移す。
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