有頂天に見る星空

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…今日は 配達が少ないな… 八月一日、天気曇り。いつもどおりの駄菓子屋で、お婆ちゃんと少し会話をし、僕は車に戻った。 午後の配達、今日は15件。 昨日の夜更しが少しだけこたえているが、出がけに例の冷凍庫で頭をしゃっきりさせてきたからそれほど眠くはならないで仕事に精を出している。 車の無線が、社長とダイゴさんの会話を喋りはじめた。 「ザッザッ…だからって、おやじ!そんなんじゃ…ザッザッ」 「ザー…とにかく、戻ってきてからだよ!無線じゃ…ザー」 僕はあまり気にせずいつものコースを回るため、いつものように車を出した。気がつけば、ずいぶんと上達している車の運転。トラックなど、ここへ来るまでは乗ったこともなかったのに、今ではバックでさえも、ミラー越しに後方を見るだけで、問題無く操作できるようになっていた。 途中のコンビニで、うちの店のトラックを発見した。確か今日は、ケンイチさんが腰をひねったため、代わりにぐしけんとおかむらが乗っているはずのトラック…。 僕も、その隣にトラックを止め様子をうかがってみた。 隣に並んだ車中を見ると、ぐしけんとおかむらが、アイスを食べていた。 窓をあけ、隣に合図する。 「よう、あと何件残ってる?」 と、僕。 「もう終わったんだ、少し休んで、店に戻るだけだよ。」 おかむらが、アイスを食べながら笑って言った。 「今日、件数少ないみたいなんだけど、そっちは何件回った?」 「そうなの? 俺等は、5件回ってきたところさ。」 …ひょっとすると、ダイゴさん今頃あっちこっちを飛び回っているのかも知れないな…はやく帰るか… 「じゃあ、後でまた。」 挨拶をして行きかけた僕に、おかむら が声をかけてきた。 「ジャン君、これあげるよ。」 窓越しにもらったのは、アイス…。 「買い過ぎちゃってさ、溶けちゃいそうなんだ。食べて。」 「ああ、ありがとう。」 …結構いい奴だ…言葉に嘘がない… 感謝しながら アイスをほおばり、僕はトラックを出して店に向かった。
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