第1章

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母の表情は、驚きから 怒りへと変わった・・・ 『なんでこんな時間に戻ってきたのよこの子は!』 母は、その事だけ心のなかで叫び 気がつくと 僕の頬はジンジンと痺れていて熱かった 8歳の僕には、何が起きたのか分からないまま 泣きながら夜の街を親戚の家まで歩いて帰らされた それでも今日 母に会える気がして、家まで来た いや・・・ 謝りたかったのかもしれない 母に嫌われたら、僕の居場所は無くなってしまう そんな事を思いながら、今 この暗闇に一人で座っている 何時間こうしていただろう 会える気がして・・・ 許してくれる気がして・・・ そう、そんな気がしただけだったのだ。 きっと心のなかの 望みや想いなんてものを、持ち続けると いつか自分を殺してしまう そもそも僕は、相手が自分を見て何を思ったのか知ってしまうんだ 今、母に会ったら何と思っているだろう 心は隠さないと、傷つきすぎて死んでしまう そうだったのか 元々居場所なんて・・・ 初めから無かった事を 僕は知った・・・
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