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…外はまだ大騒ぎしてるのかな…
店に戻ると、早速タオルを水で濡らし、冷凍庫の中へ駆け込んだ僕。僕の腫れた顔を見て、さちこさんや キョウコさんらが、大丈夫とかどうしたのとか言っていた。
…冷やすのが先だ…
先ほどの事を思い返してみる。
黒服の男、あれは護衛役の男だろう…。
ドレスの女性、奥さまとか呼ばれていたな…。
昼間店に来た警官と私服…刑事?!。
感だけど、関係ないようには思えない。
…僕の勘は、あまり当てにならないからな…
冷凍庫で十分冷え、外へ出る僕。
社員スペースへ引っ込むと、群がって来る、あかりさん と さちこさん。キョウコさんは店のレジに行ったようだ。
「どうしたの?」
「配達先でちょっと転んだだけだ。」
…本当のことを話すと、面倒な大事になりそうだからな…
「うわー、ほっぺた腫れちゃってるよー。」
「さわるな!痛いんだから!!」
騒ぎに気付き、ケンイチさんとダイゴさんまでやってきた。
「おー、腫れてるな。」
「どうってことないですよ、これぐらい。」
「ジャン、シップしとかないと明日朝、飯くえなくなるぞ。」
さちこさんたちを店へ追いやり、ダイゴさんがシップを貼ってくれた。
そばに立つケンイチさんが、核心をつく。
「で、誰に殴られた?」
しかたないので、事の一部始終を話す。
…ひょっとしたら仇討ちに飛び出していくかもしれない…
そんな僕の不安をよそに、ケンイチさんとダイゴさんは言った。
「ま、金をもらって来なくて正解だな。」
「うん、上出来。」
治療が終わり、試合後のボクサーみたいになった僕の顔。
ケンイチさんとダイゴさんは、そんな僕の顔を見て、笑って仕事に戻っていった。
…夕飯時には、社長や他のみんなにもばれてしまうかも知れないが、とりあえずは良しとしよう…
そう考えながら 同時に、仕返しの方法を練っている、もう一人の僕がいた。
…いくつかのパターンを考えないと…
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