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翌朝、港までみんなが送ってくれた。
「また来いよ。そっちのこまいのもな。」
漁を休んでついて来た、具志堅さんが言う。
「あかり、気をつけてね。」
めぐさんの目に涙…別れを惜しんでのことだろうか?
「次に来たときには、沖縄料理たくさんご馳走するよ。」
ニコニコ笑顔の岡村さん。
宮本さんは、黙りこんで笑っている。
少し半べそ…。
…名残惜しいって、こういう感情なのかな…
「あ!そうだ。なんでって最初に聞こうと思ってたんですけど…」
「なにさ?こまいの」
「こまいのじゃないです。…皆さん、千葉さんの話だとそれぞれ別々に住んでたんですよね。いつからこうやって、みんなで民宿経営をされてるんですか?」
「さあ、いつからだっけか?めぐっちょ。」
「ボサちゃん、最近物忘れ激しいよぉ。えーとね、三年ぐらい前からかな。それがどうかした?」
「いいえ、気になってたもので…。」
「そうね、千葉君にも長いこと手紙とかだしてないものね…こんど暑中見舞でも書いとくね。」
「はい!きっと、喜ぶと思います!」
一同の目が、私に集まる…。
「は、はーん。このこまいのが、千葉が目当てか…ませてるのぉ。」
「わ、私は別に…それに私、もう26です。」
「どっからどうみても、子供にしか見えないんだけどな…。」
「それだって、別に誰を好きになったっていいじゃないですか!」
恥ずかしさに耐え切れず、つい本音を言ってしまった。
「ごめんね、この連中デリカシーって物が無いからさ、許してやってね。」
めぐさんの優しい言葉が、染み渡る…。
ふと見ると、肩をがっくりと落した宮本さんの姿。
「宮本さん、どうかしたんですか?」
「ああ、気にせんでいいよ。それより、もう船が来たから、行った行った。」
「じゃあね、みんな。」
あかりさんが、私の背を押しながら、颯爽と船に乗り込んで行く。
「またこいよー!約束じゃぞー!」
「はーい、具志堅さんも、体に無理はしないで下さいねー。」
「みちよちゃん、次に来るときは、いい男連れて来なよー。」
「そんなの、わかりませーん!!」
船は出ていく…港に4人の男女を残して。
岡村さんと宮本さんが、肩を組んでいるのが見える。
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