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約束の時間の少し前に、一徳はスタンバイした。
相手から顔を見られない様に、背中で待っていた。
腕時計を確認した。
「そろそろ、だな」
そんな時、一人の男が近づいて来た。
背中越しにその男は、
「約束の物。持って来た」
男の方に、一徳は振り返った。
「お前は、明光寺の五代目?」
「院長、観念しなよ」
一徳がそう言った時、草の茂みから、
「二人とも、手を挙げて!」
女の声が響いた。
手には拳銃を持っていた。
「はいはい、手を挙げますよ。院長も言う事聞かないと撃たれるよ」
一徳達が手を挙げて後ろを向くと、女が近づいて来た。
院長の持っている物を確認していた。
「斎藤みどりさん、手が疲れたよ。下ろして良いかな」
「何故、私の名前を?」
手を下ろして、一徳は凛を鳴らした。
暗い公園に凛の音が響くと、数人の男が出て来て、三人は囲まれた。
「警察だ、銃を置いて!」
斎藤みどりは、銃を置いた。
数人で取り押さえた、
冷静な一徳は、
「おーい。身内みたいなもんだから丁寧にな」
渡辺が斎藤みどりに、
「一応、署で話を伺います。こちらへ」
「院長も、署の方まで」
斎藤みどりは院長と共に、署に連行された。
渡辺が一徳に近づいて、
「五十嵐さんも念の為署へ来て下さい」
「いいけど。晃の車で行くわ」
「それじゃあ、署で」
渡辺は署の方へ、一徳は晃の待っている駐車場へ。
「晃。悪いけど警察まで送ってくれ」
「は、はい」
晃は車を走らせた。
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