魔法がとけた頃に

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魔法がとけた頃に

魔女がふと鏡を目にすると 鏡からの返答代わりが 映し出されていた 鏡に映っていたのは 魔女の昔のままの姿 それは 彼女がまだすべてを信じて すべてを愛していた 心美しきときの姿 そしてその隣には 見覚えのある人の姿が 忘れられなかったはずなのに 忘れてしまった 大切な記憶 心の片隅においやってしまった ほんとの想いが 魔女の身を焦がす 楽しそうに微笑んで 見つめ合うふたり しばらくして ふたりの影は消え去って 現れたのはただ 自分のさっきよりも老けた 大粒の涙を流す姿 鏡の魔法は消え去って ただ普通の鏡に戻ってしまい もう何もこたえなかった
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