魔法がとけた頃に

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ねえ どうして何も言わないの? いつものように あいまいな返事をしてよ 世界で一番美しいのは誰? ねえ 何でもいいからこたえてよ しばらく 無言が続いた 魔女の塔の中 静寂を打ち破ったのは いつもの鏡の声 だけどそれは 魔法のとけた鏡からではなく 魔女の後ろから聞こえてきた ハッと後ろを振り返ると 先ほどのシルエットそのままに しかし想像していた姿よりも 多少老けていた 凛々しい男性の姿が 今の君は そのとびきりの笑顔を浮かべた君は 歴史上の絶世の美女よりも 古今東西の名女優よりも どんな物語のお姫様よりも 私にとって 一番美しいのです
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