第1章

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 僕が生まれたのは、地上から遠く遠く離れた雲というところ。  雲って地球の大気中に固まって浮かぶ水滴なんだよね。  で、その水滴の一つが僕なわけ。  ここから周りに一杯僕の兄弟が増えていき、一気に下に落ちるのを待つことになるんだよね。  うわぁ、どこに落ちるんだろう。  こうやって考える時間はあるんだ。  なぜって? 落ちるまでに少しかかるから。  前回落ちた時は冷たいところだったけど、雲ってふわふわ移動しているから前回と同じ場所ということはないんだ。  一緒に出来た数多くの兄弟達も次に落ちるところを話ししてるし。  なんか急に冷えてきた。  雲の中の温度が急激に下がってきているんだ。  僕の体がどんどん固まっていく。  周りを見渡せば僕の兄弟達もどんどん固まっていってる。  体がどんどん重たくなって、ふっと気づいたら僕は他の兄弟達と共に雲の中から抜け出てた。  僕は落ちる。  他の兄弟達と共に。
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