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「あんたって子は、言いたいことがあるのならちゃんと言いなさい!」
かあさんが怒っている。何を怒っているのか、俺にはわからない…。
「なによ、その顔は!いいかげんにしないと、本気で怒るわよ!」
今までも怒ってたじゃないか…。これ以上どう本気で怒るって言うんだ?
夏休みが近くなり、高校の三者面談に呼ばれた後、帰り道の車内でのことだった。
三者面談で、担当の教師はこんなことを言った。
「周りから浮いてます。このままでは、ろくな人生を送らないでしょう。」
そんな事言うのなら、ろくな人生って何だか教えてくれ。世の中の大人はくだらないルールに縛られて、言いたいことややりたいこともできずにいるだろう。なにがろくな人生だ。
だいたい学校にしたって、ろくなもんじゃない。現国、数学、化学、物理、世界史、日本史。今の高校に入ってから、勉強が楽しいと思えなくなった。中学まではあんなに授業が楽しかったのに。
授業中、教師に対して質問が一切できない。教師はただ黒板に文字や記号を書いて、それをノートに写させて、その後宿題を山程出して、はい終わり。
中学の頃はみんなこぞって先生に質問をぶつけた。時々先生も答えがわからない時があって、みんなで一生懸命答えを考えたりもした。それが今の高校ではない。
窓の外に目を向けると、遠く海辺をカモメが飛んでいる。
そんなに大きくない、海辺の町が見渡せる。
綺麗な空に、白い雲が積み重なっている。
「とにかく、あんなこと先生に言われるのは、自分のせいなんだからね。しっかりしなさいよ。」
かあさんは、いつもそう言う。
最後には、しっかりしなさい、だ。
俺の人生がどうなろうと、あんたの知ったこっちゃないだろうに。なんでそんなに、うるさく言うのかな。学校でどんなに浮いてたって、俺の勝手だろう。いちいちクラスに溶けこまなくったって、いいじゃないか。ほっといてくれよ。
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