第1章

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進学校として名を連ねている今の高校へは、去年春に入学した。それまで通っていた中学から、越境しての受験で、本当は友達の多い地元の公立高校へ行きたかったんだが、親の言うままに受験をした。 今ではそれを悔やんでいる。 車が町へと、たどりつく…。 俺の生まれた海辺のこの町は、これといった産業がない。せいぜい寂れた観光施設と、漁業、そして夏場だけどっと混む砂浜、あと岩場だらけの海岸があるぐらいだ。 俺はとっととこの町から出て行きたい。 きっとどこかに、俺が満足できる場所があるはずだ。正直今のままでは苦しくて、いつ爆発してもおかしくないぐらいに追い詰められてる感じがする。 誰かが目の前に現れて、俺にその場所へ行く切符を手渡してくれるとしたら、俺はためらわずにその切符を受け取るだろう。 赤信号で停車した車の外に、この町では見慣れない二人の男がいた。 白いスーツ姿の長身細身な男と、ジーンズTシャツの、右肩に大きな傷が印象的な男。こんな田舎町に、異様な姿の二人。何故だかとても目に焼き付けいて、暫くの間目で追いかけてしまう。 信号が青に変る。 かあさんの運転はとても乱暴。 二人の男の姿は、あっという間に遥か後方へとかき消えていった。 まあどうでもいいやと、俺は前方に目をうつす。 もうすぐ夏休み。 来年は受験生として過ごさねばならないから、高校最後の夏休みと思ってもいいだろう。 今年は地元の連中と何して遊ぶかな…。
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