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「ご、ごめん!大丈夫??」
上から声がする。
…さっきぶつかったのは人だったのだろうか。それに高いけど男の声。
虹子奈は恐る恐る顔を上げる。
そこには背の高い自分より10cm高そうな白髪の少年がいた。
「あ…はい、大丈夫です。」
「そう…良かった。」
少年はニコッと笑う。
「君、見たことないけど1年生?」
少年は虹子奈をじーっと見る。
よく見てみればこの少年は自分と同じ虹蓮高校の制服を着ている。
そしてその制服の上には青のチェック柄のケープを羽織っている。
しかし周りにも、虹蓮高校の生徒が少々いるがケープを羽織っている人は誰もいない。防寒着なのだろうか…。
春だけど…。
「は、はい!そうです!」
「そっか。
入学式、あともう少しで始まるよ。
僕も遅れそうだから、一緒に走って行こうか。」
入学式に…?ということはこの人も1年生なのだろうか。
しかしそれだったら「見たことないけど」というような言葉は言わないはず。
おかしな人だなぁ…。白髪だし…。
まぁとりあえず入学式に遅れそうだから走って行くとしますか…。
「はい!」
虹子奈は立ち上がり、白髪の少年と一緒に走り出した。
(ははっ…いい子見つけた…。)
白髪の少年はクスッと笑った。
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