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現在の時刻、8時25分。
虹子奈と白髪の少年は滑り込むように校門に入った。
道中、あまり遠いわけではないが、急な坂道があるため2人ともヘトヘトだった。
白髪の少年は息を切らしながら虹子奈に笑顔を見せた。
「じゃあ僕は先に行くね。入学式、あと5分で始まるから君も早く行った方がいいよ。」
少年は学校の方へとまた走り出した。
その姿はまるで風の如く駆け抜ける馬のようだった。
虹子奈はとてつもなく広い校庭を歩いた。
今の季節は桜が咲いていて風が吹く度、シャワーのように散る。
「綺麗だなぁ…。」
虹子奈は校庭の中心に周りを見渡してみると、一面淡いピンクの桜が風に揺れて踊っているように見える。
ああ、いっそ…このままでいた____
「ああっ??入学式遅れる??」
虹子奈は校庭の真ん中を突っ走った。
さっきの少年とは違い、迫力が増しているせいか、猛獣のようだ。
散った花びらも虹子奈が通過することによって起こった風により、竜巻のように巻き上がる。
…桜吹雪のようで幻想的だったが、その雰囲気とはぶち壊しに、虹子奈は顔面崩壊といってもいいような形相で走り続けた。
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