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そう言うと姉貴は、ポケットから携帯電話を取り出し、ボタンを押し始めた。
「あった、このメール。」
情報求む!
右腕に大きな傷のある男を見かけたら、連絡頂戴♪
みちよ
「…これだけ?」
「なによ、ねえちゃん馬鹿にする気!?。言っとくけどこの人、東京で本書いてる人なのよ!」
俺はもう一度、姉貴の携帯画面に目をやった。
「…なんだか、ふざけた内様にしか見えないんだけど…」
「もう。いいわ、これからメールしてみるから。」
そう言うと姉貴は、ピポパとボタンを押し始めた。
「送信完了!後は連絡待ちね。」
何だか俺は、相談する相手を間違えたに違いない…。そんな気分で一杯になった…。
突然、姉貴の携帯からB’zの曲が流れ出す。
「あれ?メールじゃなくて電話が入って来た…。」
姉貴はそうつぶやくと、電話に出た。電話の向うから女性の声が聞こえて来る。…デカい声の女だな…そんなことを考えながら、俺は窓の外に目を向けた。
カモメが…
「アツシ、電話代わってって…」
姉貴が携帯を差し出して言った。
「姉貴の電話に出るの?油つくけど怒らない?」
「いいから、早く出て!」
言われるままに代わる。携帯から、元気な女性の声が響いて来た。
「アツシ君?はじめまして、みちよと言います。」
「はあ、どうも…」
「早速だけど、傷の男の特徴を良く教えて?」
言われるままに、質問に答えていく。
「…やった、遂に見つけたわ…。ありがとう、お姉さんに代わってくれる?」
有無を言わさぬ迫力に、俺は携帯を姉貴に返す。
窓の外に目をやり、カモメを探す俺…
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