第1章

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姉貴は暫く話し込んだ後、携帯を切って俺に言った。 「…明日来るって…。あんた、相手お願いね。」 「ちょっと待てよ、姉貴。誰だよ、今の。」 「え、だ、だから…お姉ちゃんのメル友…。」 「いつもあんな感じなのか?一方的に話しやがって…。」 「って言うか、電話で話したの初めて…」 俺と姉貴の間で、空気が暫く止まった気がした。 「冗談じゃない!なんでそんなの相手にしなければならないんだよ!!」 俺は少し怒って言った。姉貴も狐につままれたような顔で言う。 「…そうよね、いくら何でも一方的よね…」 「そうだよ!勝手な事言ってんじゃねえって電話かけなおせよ!!」 「…そうね、そうしとくわ…」 そう言いながら、少しぽっとした顔で部屋を出て行く姉貴…。 なんだか、凄く嫌な予感がした…。俺は部屋の中で、布団にうつ伏せになり、何も考えないように勤めた。けれどあとからあとから、考えが浮かんでくる。 終業式、町で見かけた二人組の男…なぜか惹かれた…綺麗なお姉さんでもないのに… 斎藤との再会…あれもあの二人組を探し回っての偶然だった。 奇妙な二人組…。 出会いは偶然なのか、必然なのか? ふと、何かで読んだ言葉が頭をよぎる。 「この世に偶然は存在しえない。全ては必然である。」 思い出した瞬間、ぞっとした…。 仮に今回の出会いが必然だとしたら、明日の出会いも必然なのだろうか?みちよとかいうあの女は、電話の雰囲気からいってきっとこの町に来るだろう。会うべくして出会う運命だとしたら、その必然は俺にどこへ向かえと言うのだろう。 …そんなことを考えているうちに、自然と俺は、眠りについていた…。
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