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右肩に、肩口から肘まですーっと伸びたミミズ腫れ。
肘の少し上に、横に交差する短いミミズ腫れ。
眺めながらふと、あの夢の主人公が誰なのかわかった気がした。
「なんかへんな傷跡ができちゃってるわね。消毒しとく?」
姉貴が心配そうにそう言う。
「いい。もう大丈夫だから。」
「ならいいけど…大丈夫?」
「大丈夫だって。もう部屋に帰れよ。」
面倒さと、どうしていいかわからないもどかしさに、姉貴に罵声を浴びせる。
姉貴は黙って、部屋を出ていった。少し心配そうに…。
そんな姉貴の心が手に取るようにわかる自分が恐かった。
姉貴は背中をさすりながら、夜中に面倒だと心の中でつぶやいていた。
背中さすってやれば落ち着くだろうと、子供扱いしていた。
優しい姉を演じる自分に、自己満足を覚えていた。
そんなことまで感じとれる自分が、理解できなかった…。
布団にもう一度もぐりこみ、静かに目を閉じる。
傷の男…サトルとか言ったっけ…あの男に繋がれば、何かわかるかも知れない。
そう考えて、眉間の当りと、ヘソ下に意識を集中した。精神集中の基本だ。
小一時間ほどまどろみ、そして次に目を開けると、足元に地球があった。
「…おい、いるんだろう。姿を現せよ。」
虚無の宇宙空間…けれど確かに気配はある。
「聞きたいことがあるんだ。頼むから話を聞かせてくれよ。」
俺の声は虚しく響き渡る…。
「…やれやれ、教えてもいないのにここまでやられてはね…」
振り向くと、シンが立っていた。
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